Before the performance

タイマーの243秒から当時未発表の「罠」の音源を本邦初公開しました。

2コーラス目まではそこまでのBGMと同じ音量でボーカルカットして流していました。この時点でイエローモンキーの曲だ! ってわかった方はSUPER BELIEVER.ですね。

ギターソロからハウスエンジニアの岩見さんの人差し指の加減で音量をアップ。もしかしたらここで気付いた方も多いのでは?

そして、♪ドキドキするのは〜からボーカルが入りそこからの歓声はこの日1回目の鳥肌ポイントでした。あえて「残り0秒」の瞬間のボーカルエフェクトの長さも何パターンか作りました。さらに事前にマニピュレーターの貴さん&岩見さんと会場に合うレベルを予測してボーカルの音量をあえて下げてみたりして、こだわったラストBGMです!

Opening.

考える煙

実はこの時点でちゃんとタイトルがついていたSEなのです。吉井さんが演奏しているカホーンから始まるインスト音源。キーボードの掛け合い部分は元々のデモ音源で吉井さんが弾いた鍵盤をガイドにして、リハスタジオで三国さんと鶴谷さんが実奏しながらあーでもない、こーでもないとやりながら決まっていきました。三国さんがピアノからオルガンに移行して終わるところとか、世界観が入り混じっていて気持ち良いポイントです。

ちなみに、Complete BoxのCD「Sparkle X -Complete Edition-」に収録されているバージョンのキーボード演奏はこの日のお二人の演奏から抜いたものです。

M.01

バラ色の日々

そこからの鶴谷さんピアノ。SEで散々盛り上げてからの明転でMCかよ! と一瞬思ってしまった方もいるかと思いますが、ここも重要なポイントです。まずはお声を。そして、リベンジを果たす為に重要なSing Loud!(2020年、歓声NGの公演で流すためにファンの皆さんの歓声や歌声を募集した企画)とのコラボからの幕開けに向かいたかったのです。吉井さんが丁寧に説明してくれている感じも新鮮でよかったですね。ほんとに会場の生歌声とのコラボは聞いたことのない不思議なパワーのある歌でした。

映像にも残っている、この時のエマさんの顔がたまらんです。からのビューティフォー! です。

吉井さんの喉のコンディションを考えるといきなりこの曲は正直厳しかったはず。でも2016年の再集結一発目が「プライマル。」だった時に近い必然性を感じた選曲でした。

M.02

SHINE ON

実質2曲目ではありますが、本当の意味での新しい幕開けの曲。公演タイトルに決まったとき、その時点ではこの曲は完成していませんでしたが、このライブの全体像が固まったような瞬間でした。CD音源より若干テンポを落としていることにより大会場でもグルーヴがまとまって聞こえます。あとはサビの皆さんのクラップも最高でした。とにかくこのドーム公演とアルバム『Sparkle X』が密接な関係にあるのですが、そのなかでも重要なポジションの楽曲です。

M.03

Romantist Taste

吉井さんの「これが見たかったぜ!」の通り、念願の東京ドームで初披露。

早くもまずはヒーセさんが下手リフターへ移動開始。イントロのワウペダルを終えたエマさんが上手へ。今回はより多く皆さんの近くに行けるようにと、序盤での移動となりました。あとは、ラストのカットアウトバーションは新鮮でしたね。事前のスタジオリハでは誰かしらがたまに間違えていましたが、本番はさすがでした。

センターLEDに出した映像は2021年に日清パワーステーション(無観客ライブ)の際にも使用したCGのリアレンジver.です。今回は各所で2020年からの想いをリベンジ、リライトしているような部分も見どころのひとつです。

M.04

Tactics

まさに4年分のアーイエ〜。本公演のテーマのひとつは「声」です。なのでこの曲の前の掛け合いは欠かせません。

本イントロに入ってからのマルチ画面。この曲では今までもやってきた演出ではありますが、ドームビジョンも使用したこのスケール感は想像以上によかったです。

EMMA section

もはや恒例ともなりつつある、エマセクション。さりげなく次曲のフレーズも触りつつ東洋の匂いもする異国な世界観。ギター1本でこんな空気を作れる人ってなかなかいないんですよ!

前回のドームツアーの「球根」前の時もそうでしたが、エマさんは頭のなかで構成するのがすごく早く、スタジオリハでも物語を語るようにプレイしだします。音だけを目を閉じて聴いてみるのもとても良いですよ。

M.05

聖なる海とサンシャイン

意外にもこの曲も東京ドームでは初披露ですね。

実は今回、メンバーが立つステージには照明機材が1台もありません。楽器、スピーカーなど音関連のものだけがある状態です。なのでステージに立つとわかるのですが、なんとなく広々としているのにクールに締まっている感じがあります。照明機材はステージのまわりを少し下げていてそこにぐるりと設置されています。この曲ではそのステージのわずかな側面にライトを当てて、海の中でステージが浮いているようなイメージです。ちょっと映像ではわかりづらいのが残念なのですが、スタンド席からご覧の方は気づいてもらっていたら嬉しいです。

M.06

BURN

個人的には久々に生で聞いた三国節が詰まったピアノは絶品でした。あと、三国コーラスですね。メンバー全員でスタジオサブルームにいる時、三国さんの声と吉井さんの声質が似ているから三国コーラスが合うと話していました。

M.07

ROCK STAR

上手と下手を入れ替えてのヒーセ&エマの移動です。東京ドームでくだりのスロープってあまり無いと思うんです。そこをグイグイと下っていき客席に近づく姿が勇敢でした。ただ、登るのはほんとにしんどいです。ドローンカメラも発進しましたね。

今回の作品はWOWOWでの放送とは違い、ドローンカメラ含む数台のカメラも加えたうえでまったく違う編集で仕上がっています。映像で収められている、吉井さんからカメラマンと三国さんへの◯◯チョーもお見逃しなく。

M.08

楽園

いつもこの曲で思うのですが、MCからのエマギターの入るタイミングって毎度100点じゃないですか??

後ろの映像は、最近では映像制作にとどまらず全ての演出家としても活躍しているダッチくん(山田健人監督)が自分の手を撮り下ろして加工したものです。彼のそういうセンス、好きなんですよね〜。

M.09

SPARK

吉井さんが走りながらジャケット脱ぎましたが、アニーさんがまだライダースを着て頑張ってます! メンバー4人の衣装はスタイリスト二村さんディレクションによる、すべて生地から製作したものです。全編通してTHE YELLOW MONKEYならではの衣装の仕上がりにも注目してください。

そして再び登場のドローンカメラですが、操縦している増田さん、日本屈指の技術をお持ちの方です。ぶっつけ本番なのにうまい!

ANNIE & HEESEY section

個人的にはこの公演のハイライトです!

まず、ヒーセ&アニーのパートというのは初の試み。この二人だけのリハーサルの時間というのもすごく新鮮でした。いわゆるドラムソロやベースソロみたいなのではなく、“ならでは”のプレイから次曲に繋げたいというところから話し合いが始まりました。

通しリハーサルの段階からほぼ固めに入っていましたが、さすが本番に強いアニーさん、4小節の早い展開なのにどっしりしたプレイ。この人は緊張というのは無いのか?笑。

しかもこれ最終的には次曲のテンポになるのですが、そこまでに少しずつテンポが上がっていってるんですよ。その方が徐々に盛り上がるんじゃないかというアニーさんのアイデアでした。

そこにベースが混ざる。ヒーセさんもいろんなパターンを用意して二人だけのリハーサルに臨みました。ベースの主張よりもとにかく次曲への持ち上げを重視している印象の絶妙な展開パターン。そのままやってイントロのインパクトを弱めたくもないし、かけ離れると繋がりが気持ち良くないし、、などなど綿密に考えられて凝縮していますよね。

映像だとわかりづらいですが、ドラム音は火花のような青白いCG、ベース音はオレンジの横波線のイコライザーみたいなCGが同期しています。前ドームツアーの「球根」前はギター音と同期させていましたがそれのオマージュです。

M.10

ソナタの暗闇

そのCGがギターのスクラッチに合わせて文字に変わっていく映像演出。このオペレーションはかなり難しいです。直前のリハーサルでもうまくいきませんでした。このようなVJ的な部分はダッチくんが自らオペレートしていて、本番は見事に大成功! 気持ちよかったです。ドームで文字だけバックに演奏するバンドってどんなだよ! って思いながら観ていましたが、それができちゃうバンドなのです。

歌詞を埋めていく演出は2020年代々木公演の「セックスレスデス」の応用編です。ここにも小さなリベンジが盛り込まれています。

M.11

天道虫

これ、気づいた方いらっしゃいますか??

センターLEDの映像をよく見てください。答えは商品に収録されているSPECIAL MOVIEの「Multiscreen ver.」をご覧いただきたいのですが、センターのビジョンに映っていたのは、事前に収録された映像です。いろんなアングルの映像をマルチ画面で出すことによるインパクトを狙った演出です。4月上旬に幕張メッセで行われたゲネプロ(本番さながらの通しリハーサル)の際にこれ用に数テイク撮影したものでした。マラボー着用の吉井さんやコートを脱いでいるエマさんなど笑

ドームの会場で気づいた方はSUPER BELIEVER.です!

M.12

太陽が燃えている

まずはエマさんがこの日お初のセンターリフターへ! ど真ん中の少し高い位置でのギターソロは想像を超えて絶品でした。

ところでセンターリフターの存在は皆さん気づいてましたでしょうか? サプライズにしたかったのでギリギリまで机や椅子、空ケースなどを置いたり照明に幕をかけたり。それらをエマさんが最後の曲がり角を曲がった瞬間にドタバタと一斉にバラすという超アナログな手法の演出…笑。そこは映像に映っていませんが、そのリアルな模様の現場は楽しかったです。

ドキュメントVTR

2022年頭から密着してくれているエリザベス宮地さんによる編集。彼ならではの編集ポイントがたくさんあります。身近なスタッフでもこのVTRで初めて聞いたメンバーの言葉などありました。本番はちょっとしたテクニカルミスもありましたが、作品では修正させてもらいました。YouTubeで公開されている「SHINE ON (2024.4.27 TOKYO DOME Document)」もエリザベス宮地さんに作ってもらったのですが、よくわかっていらっしゃる、凝縮された仕上がりになっています。

M.13

人生の終わり(FOR GRANDMOTHER)

25年ぶりの披露となった隠れ代表曲ですよね。この曲調でこのハネ具合が独特のグルーヴは健在でした。ギターソロから徐々に広がっていくライティング、客席の明かりもぼんやり幻想的な空間でした。何気にこの曲のシーン作りは時間をかけましたね。この曲のメンバー4人の表情は必見です。

M.14

SUCK OF LIFE

そして間髪入れずにアニーさんのテッパンスネアです。このような2曲を続けてできてしまうのもイエローモンキーだけじゃないでしょうか。

M.15

LOVE LOVE SHOW

吉井さん走りながらマラボーキャッチ! これは当日決まったことで、ずっとツアーマネージャーをやってくれている島影さんとの阿吽の呼吸のやりとり。楽屋の廊下で2回だけ練習していました笑。

歌詞を間違えた吉井さんに思わずアレ? って言ってしまうエマさんと、アウトロでちゃんとヒーセさんが戻ってきているかを確認する吉井さんの仕草は必見です!いつものヒーセさんの代わりにエマさんが全コーラスというレアなバージョンです。

そして自らこの曲で行きたいと言っていたヒーセさんがセンターリフターへ! ドローンカメラとの相性もハマっていましたね。

そう言えばリフターの高さは、事前のゲネプロ会場でヒーセさんから高すぎるのは怖いというリクエストがあったので実際に乗ってもらい恐怖限界の2.1mで設定しました。が、、ドーム当日、スタンドから見た感じでもう少し高くしたくて、内緒でさらに30cm高い2.4mでやりました! 皆さんの盛り上がりのおかげで気づかないまま無事に終わりました。廣瀬さんごめんなさい。。

M.16

ホテルニュートリノ

この演奏はオリジナルキーから半音下がっています。オリジナルキーでやるかを前曲が終わった直後にコンディションにより吉井さんが判断するというものでした。実は状況によってはカットすることも選択肢のひとつでした。

イントロ前のギター音にあわせた照明プランはプランナー上島さんのイチオシポイントです。客席に仕込んだ照明機材をこの規模で仕込むのはめちゃくちゃ大変です。背負っている映像はバンドにまつわるもので装飾されたオリジナルの街の風景をダッチくんが制作してくれました。映像だとわかりづらいですが、上部LEDに星が広がっていく小粋な演出でした。こういう派手ではないけど心ある演出はバンドにとても合います。

M.17

アバンギャルドで行こうよ

まずは「東京ブギウギ」のストレートカバーは貴重じゃないですか?

バンドインで会場内が明転する武道館でいうクールレイみたいなやつ、ボタンを押してからすぐ点かないのでタイミング難しいんですよ〜。リハーサルでは失敗しましたが本番はお見事!

個人的にはこの曲を東京ドームでやるのはなんか夢のひとつだったかもしれません。スタジオリハーサルの最初の頃、「なんかドームでは恥ずかしいからやりたくない(笑)」という信じられない言葉がメンバーからはこぼれてましたが。。

M.18

ALRIGHT

正直いいますと、元々のプランではセンターリフターは設置する予定は無かったのです。今回は左右の花道とリフターのみ、というプランで進んでいました。でもやっぱり、、この曲をやるからにはどうしても必要だと思い、座席確定の直前に急遽追加したのがセンターリフターでした。後日、吉井さんが言っていましたが、本番中そこに上がり、ステージ側を振り返ってみたら客席に囲まれながら浮いている自分がLEDに映っていてテンションが上がったそうです。今回は特にお決まりのあのキッカケはまさに奇跡の瞬間でした。縁起がよい気がするので何度も観てください!

M.19

悲しきASIAN BOY

まずは、イエッサーまでに吉井さんがセンターに戻るのはめちゃくちゃギリなのです。間に合ってよかった〜なんて呑気なことを思っていたら上手客席に走っていきました。あのパワーはどこに残っていたのでしょうか。というか別人がいました笑。

今回の紙吹雪は金と銀でしたね。一応、確認ですが、電飾看板では無いというのはご存知でしたか? あれは看板を装った映像なのです。3枚のLEDをバラバラに動かすタイミングを操った舞台監督の高尾さんは流石でした。

MC

歴史に残るMCシーン。

「なんの確信もないまま東京ドームやっちゃって本当に申し訳ないけど、皆さんの歓声があるからできると思った」

あたりまえのようで重く響く言葉でした。

M.20

JAM

東京ドームのJAM。また一つ違うものが生まれました。生のライブで一番大切な何かを叩きつけられた瞬間でした。2サビのシンガロング前で吉井さんがイヤモニをとるシーンからのヒーセさん、エマさん、アニーさんが客席を見ながら演奏しているシーンはぜひご覧ください。

復活の日(VTR)

作品に収録されている、客席など空間を収めている編集がすごくよいです。

吉井さんから「自分の映像はサブで、歌詞をメインで出してほしい」というリクエストがありました。それに応える形がドーム常設の大ビジョンに目一杯に広がる歌詞でした。事前に収録された映像は1カメスルー(通し撮影)の2テイクでした。当日使用されたのは1テイク目のクールな感じのものです。商品のSPECIAL MOVIEに収録されている「Another Take ver.」は2テイク目の少しアグレッシブなものとなります。

M.21

WELCOME TO MY DOGHOUSE

VTRで終演の予定で、この曲をやるかやらないかは「復活の日」VTR中に判断されるものでした。2001年と同じ言葉が飛び出すとは思わなかったですね。ここまで辿り着くとは思っていなかったというのが本音かもしれません。まさに永久に不滅なバンドです。

直前のスタジオリハーサルでは歌えなくて本編途中で中断してしまったこともありました。事前にゲネプロを実施したとはいえ、セットを全部組めているわけでもないですし、そこからの変更事項も多い中、この規模でいろんなことがぶっつけ本番の一発勝負となりました。

メンバー、スタッフの驚異的な集中力と執着みたいなものにオーディエンスが加わり成功をもたらした奇跡のライブでした。